皆さん「バブル」って聞いたら「バブル崩壊」を連想すると思いますが、今日はその「バブル」の語源になった南海泡沫事件(なんかいほうまつじけん)について説明したいと思います。
先日「AIが変えるお金の未来」という本を読んでいるとビットコインが大暴落した話が紹介されており、その中に南海泡沫事件というワードが登場したのです。
今後銀行は生き残れるのか?など、様々なお金の未来が紹介されていました。
多少難しくてつまらない話もありましたが(笑)
では、この南海泡沫事件とはどのようなものだったのでしょうか?
参考にしたのは神戸大学大学院経営学研究科の中野先生の論文です↓
南海泡沫事件(なんかいほうまつじけん)
時代は18世紀初頭のヨーロッパ、当時の大国イギリスとフランスはスペイン継承戦争やアン女王戦争などで戦費をばんばん使っていたので、財政的に非常に苦しい時期にありました。

(論文には載っていませんが)後にお話しする内容から推察すると、これはつまりイギリス政府が国債を大量に発行しイギリス国民から大量のお金を借りていたのだと思います、戦争のために。
戦争に勝てばその借金は賄える予定でしたが…
ではどうすれば南海会社は莫大な借金を帳消しにできるほどの利益を生むことができるのでしょうか?
その答えが、
奴隷取引を中心としたスペイン領南アメリカ植民地とのアシェント(*)貿易
だったのです。
※アシェント
アシェントとは南アメリカのスペイン植民地へ奴隷を供給する権利のことで、早い話奴隷貿易で莫大な利益を得ようとした、ということです。
南海会社の「南海」とは、南アメリカの海ということ。
南海会社の本業はどうだったのか?
論文によると、南海会社は貿易会社という名目でしたが実際にはほとんど機能していなかったようです。
南海会社がイギリス政府から特権を得たアシェント貿易、つまりスペイン領南アメリカとの奴隷貿易については、もともとスペインがこの広大な地域との貿易の独占権を主張していました。
なので南海会社がそれを無視してスペイン領南アメリカ植民地と貿易を行えば、当時の超大国スペインが黙っていませんよね。
複利か単利かによりますが、年利6%って言ったら結構ですね
いわば、政府に対する国民の債権(お金を返してもらう権利)を南海会社が買い取ったイメージです(この時はまだ全ての公債を買い取ったわけではありませんでした)
もし南海会社が倒産すれば、国は借金を返す相手がいなくなりハッピー、国民は株式がただの紙切れになって大損こくという感じですね。
恐ろしい。
南海会社社長ジョン・ブラントが提出した南海計画
さて、南海会社を設立したのはロバート・ハーレーでしたが、実際に同社の実権を握ったのは(社長になったのは)ジョン・ブラントでした。
このジョン・ブラント社長、ものすごいワルなんです↓

国から公債に対する利息と管理費をもらい、それをそのまま株主に配当として渡すだけの状態が気に入らなかったんですね、ジョン・ブラントさんは!
彼、やっちゃいます
当時ヨーロッパを覆っていた投機ムードの中で、ジョン・ブラント社長はイギリス議会に対して新たな公債転換計画を提出します。
それが南海計画です。
その内容を説明すると以下のようなものです↓
続きを読む(難しいと思ったら飛ばしてください)
・総額およそ5000万ポンドにのぼる公債のうち、既にイングランド銀行、東インド会社、南海会社が保有するものを除く部分を南海会社の新規発行株式に時価を基準に転換する。
・南海会社は、転換した公債の額面に等しい株式を発行する権利を与えられる。
・南海会社は、政府の筆頭債権者となることに対して、1727年以降保有する公債全体について年5%から4%への利下げに同意する。
・南海会社は、公債引受権の代償(特許料=上納金)を支払う。
早い話、政府からすれば↓
➀公債に対してかかる利息が減るわ
②特許料をもらえるわ
③債権者が一本化され公債管理が楽になるわ
といったウハウハなメリットがありました。
では南海会社にとってはどんなメリットがあったのでしょうか?
お金を貸してくれてるので、その分金利を払うのは当然ですよね

これはかなり大変ですよね、全員分のデータを管理してみんなに利息を払わないといけないなんて・・・

イギリス政府大パニック!!!!
そういう事もお見通しの南海会社(ジョン・ブラント)は政府に、
しかし本当に恐ろしいのはこの「時価を基準に転換する」という部分だったのです
普通は100ポンド分の公債に対して100ポンド分の株式を発行しますよね、当然!

しかし、「時価を基準に転換する」と決めたことで事態は一変します。
時価とはその瞬間の会社の株価と考えてください
株価は値動きするのが当たり前ですから、毎日株式の値段は変わっているわけなんです。
例えば株価(時価)が200ポンドになった場合、普通は200ポンド分の株式と公債200ポンド分を交換します↓

が、この時は違います。
株価が100ポンドから200ポンドに値上がりした場合、南海会社は100ポンド分の株式を発行して200ポンド分の公債を手に入れることができたんです↓

「100ポンド分の株券」ではなく「1枚の株券」という、「1枚いくら」という設定をしたんです。
南の海の貿易がほんまに大成功したんや!!!
とか
おい、なんか知らんけど南海会社の株を買えば儲かるらしいぞ
とか、わけもわからずに一般市民が南海会社の株を買い始めます↓

この裏ではジョン・ブラント社長が様々な株価吊り上げ作戦をやっていたようで、それに乗せられた人たちが最終的にババを引くことになります・・・

同社の株価は1720年1月はじめは1株(額面100ポンド)あたり128ポンドだったのが、3月には最高値で380ポンド、5月には870ポンドにまで上昇し、6月24日には空前絶後の1,050ポンドを記録するまでに高騰しました↓

これがバブル崩壊だったんですね
おわりに
ということで、今回はバブルの語源についてお話しました。
だいぶ長かったですね、反省しています(笑)
株の知識が無い人にはわかりにくかったかもしれませんが、何となくの概要だけでも理解して頂けたら幸いです。


